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「不満を除く」か「魅力を増やす」か。離職率・定着率で変わる改善へのアプローチ

「うちの会社、離職率が高いんだよね」
「定着率を上げるにはどうしたらいい?」
人事部門の方なら、一度は口にしたことのある言葉かもしれません。
離職率と定着率、この2つを同じ意味で使っていませんか?
実は、この2つの数値は似ているようで、まったく違う視点を持っています。
数値の見方を間違えると、人材定着の取り組みそのものが的外れになってしまう可能性も。
今回は、その違いを正確に理解し、どう人材定着に活かせるかを解説します。
離職率は「辞めた人」に注目する数値
離職率とは、一定期間に企業を離れた従業員の割合を示す数値です。
「どれだけの人が会社を辞めたか」に焦点を当てた数値といえます。
離職率の計算方法と実例
離職率(%) = (対象期間の離職者数 ÷ 対象期間開始時の従業員数) × 100
年間離職率の例
・期首の従業員数:100人、1年間の離職者数:15人
・年間離職率 = (15 ÷ 100) × 100 = 15%
3年以内離職率の例
・2022年4月入社:50人、3年間で離職:17人
・3年以内離職率 = (17 ÷ 50) × 100 = 34%
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」によると、2023年の日本全体の年間離職率は15.4%*1でした。また、2021年3月卒業の大卒者の3年以内離職率は34.9%*2というデータもあり、若手人材の早期離職が多くの企業で課題となっています。
*1 厚生労働省 令和5年雇用動向調査結果の概況(PDF) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf
*2 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表しますhttps://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html
【ポイント】
離職率は1年間だけを見るものではありません。
年間離職率、3年以内離職率、5年以内離職率など、目的に応じて期間を設定できる数値です。
定着率とは「残った人」に注目する数値

定着率とは、一定期間後に職場に残っている従業員の割合を示す数値です。
「どれだけの人が会社に残っているか」を見ます。
定着率の計算方法
定着率には2つの計算方法があります。
① 離職率から算出する方法
定着率(%) = 100 − 離職率(%)
計算例
・年間離職率15% → 年間定着率 = 85%
・3年以内離職率34% → 3年後定着率 = 66%
この計算が成り立つ条件: 必ず同じ期間・同じ対象で計算すること。
年間離職率15%から3年後定着率は計算できません。
② 特定集団を追跡する方法
定着率(%) = (期間終了時の在籍者数 ÷ 入社時の人数) × 100
計算例
・2022年入社50人 → 3年後在籍33人
・3年後定着率 = (33 ÷ 50) × 100 = 66%
この場合、17人が離職したので3年以内離職率は34%となり、「100 – 34% = 66%」と一致します。
離職率と定着率、何が違うのか?
「同じ期間なら100から引き算するだけでは?」と思うかもしれません。
確かに数式上はそうですが、この2つには重要な違いがあります。
見ている方向が違う

離職率は「出ていった人」に焦点を当て、人材流出のリスクを測るネガティブな数値です。
定着率は「残り続けている人」に注目し、組織への定着や育成の成果を測るポジティブな数値です。
使われる期間が異なることが多い
離職率は企業全体の人材流動性を見るため「年間離職率」として使われることが多く、毎年の変化を追跡するのに適しています。
定着率は特定の入社年度を長期的に追跡する「3年後定着率」「5年後定着率」など、人材がどれだけ組織に根付いているかを見ることが多いのです。
例えば、「年間離職率15%で大きな変動がない」という企業でも、3年後の定着率を考えると?という課題が隠れている場合があります。
取り組みの方向性が変わる
離職率を下げる取り組み
「なぜ辞めるのか」の理由を分析し要因を取り除きます。
例えば、待遇改善、労働環境の整備、ハラスメント対策などを行います。
定着率を上げる取り組み
「なぜ残るのか」の理由を強化します。
例えば、キャリア開発、成長機会の提供、「この会社で働き続けたい」という気持ちを育てることなどに注力します。
つまり、問題を減らすのか、魅力を増やすのか—その視点の違いが、取り組みの質を大きく変えるのです。
両方の数値を見ることの意味

離職率と定着率をセットで見ることで、会社の人の動きを幅広く把握することができます。
離職率が教えてくれること
- 人材の流動性はどの程度か
- 採用・育成コストの流出度合い
- 組織に問題が起きていないか
定着率が教えてくれること
- 中長期的に人材が育つ土壌があるか
- 特定の世代や部署で定着に差はないか
- 育成の取り組みの効果は出ているか
例えば、年間離職率が15%でも、その内訳が「入社1年未満の若手」に集中しているのか、「ベテラン層も含めてまんべんなく」辞めているのかで、打つべき手は全く違います。
また、「年間離職率15%」からは新卒が3年でどれだけ残っているかは分かりません。
3年後定着率を部署別に見れば、「ただし、3年前入社社員はA部署だけ50%しかない」という隠れた課題も浮かび上がります。(中堅~ベテランという年代層の定着率は高い)
数値の裏にある「人」の動きを見る
年間離職率15.4%、3年以内離職率34.9%。
この数字の裏には、一人ひとりの「辞めた理由」「残った理由」があります。
数値は現状を知るための入り口です。
大切なのは、その数値から何を読み取り、どう改善につなげるか。
離職率が高ければ退職面談で「本当の理由」を探る。
定着率が低ければ残っている社員に「なぜここで働き続けているのか」を聞く。
こうした声の聞き取りが、効果的な改善につながります。

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